アート・インタラクティヴ東京 連続作家紹介第18回  佐藤 紫寿代展トップへ

展覧会コメント 佐藤 紫寿代

ふだん身体は、1つの閉じた器官のように感じられるが、実は
そうではない。
髪の毛は環境さえ整えば身体から離れても伸び続ける。また、
細胞は培養されて、もはやもとの身体が感覚できない器官にな
る。いまや身体は、その断片で成長し機能する生きものとして
の自立性を獲得しつつある。
自と他を区別することが《境界》の意識の出発点だとして、こ
うした身体の名状し難い状況は、自と他の区別に曖昧さを生む
。どこまでが自分で、どこからが自分でないのか。

私は制作において、毛髪や噛んだガム、掃除機のゴミなど、身
体の曖昧さとの関連を強く感じる素材をしばしば用いる。強度
に欠け変質しやすく、作品に向いた素材ではない。何よりも人
に嫌悪感を与えることが多い。
しかし私は、このような自分と深い関わりがありながら普段は
意識にのぼりにくい物質にこそ、《境界》の揺らぎを感じる。
身体から切り離され「何であるか」の寄る辺を失ったものたち
の姿は美しい。
そして、石の上で増殖するガムの固まりや、細かく編み込まれ
た髪の毛の蝶は、寄る辺を失ったものたちが再び名付けられる
ことを待っているのかを、問いかけるものである。


◎略歴
1979年、広島生まれ。広島市立芸術学部大学院を卒業後、四谷
アートステュディウムに在籍。神奈川在住。
◎展覧会歴
2007「中之条ビエンナーレ2007」中之条町、群馬
「新・公募展2007」広島市現代美術館、広島
「超高品質なホコリ展」(旧中工場アートプロ
ジェクト) 旧中工場、広島
「Hunger map, Sleeping compass」GALLERY
OBJECTIVE CORRELATIVE、四谷
2006「00' 00"」GALLERY OBJECTIVE CORRELATIVE、四谷
  「GEISAI#10」(ユニット"マダキメテマセン"として) 東京
ビックサイト、   東京
2005「卒業修了制作作品展」広島市立大学、広島
2004「ろくでなし」チェコ館/EXPO跡地、ハノーファー、ドイ

  「Change of Daily(個展)」SPANDAUギャラリー、ハノーフ
ァー、ドイツ
2003「卒業修了制作作品展」広島市立大学、広島
  「WHITE MAXIMUM」旧池田外科医院、広島